私は難聴のエンジニアです。聴こえないことを補うために、AI(Claude)・Python・GAS(Google Apps Script)を使って、仕事のかなりの部分を自動化しています。この記事では、私が毎日実際に動かしている自動化の仕組みを、そのまま公開します。
この記事でわかること
- 難聴の私が毎日動かしている自動化ジョブ19本の中身(2026年8月現在)
- GAS・Python・Claude・Todoist を組み合わせた自動化レシピ4選
- AIに任せて失敗しないための「AIと人間の役割分担」ルール
前回の記事「聴こえないから、仕組みを作る ― 難聴エンジニアの仕事術」で、こう書きました。
朝3時には主要な数字が全部テキストで勝手に届く
すると「それ、具体的にどうやってるの?」が気になった方もいるはずです。今回はその中身の話です。
先に種明かしをすると、私のパソコンでは毎日19本の自動ジョブが動いています(2026年8月現在。少しずつ改善を重ねて、この本数になりました)。全部合わせても、動く時間は1日わずか26分ほど。この合計26分の自動ジョブたちが、私の代わりに「聞く」「確認する」「転記する」を担ってくれています。こうして毎日の仕事を、少しずつ自動化してきました。
聴こえない私にとって、電話や口頭確認は一番苦手な仕事です。だから「音を前提にしない仕組み」に、片っ端から置き換えてきました。その実例です。

レシピ①:朝起きたら、数字が全部届いている
【使用ツール】 GAS(Google Apps Script)/ Python / Gmail
【仕組み】 夜中にスプレッドシートを自動集計 → グラフ化 → 朝のメールで自動送信
私は誰にも「昨日の売上どうだった?」と聞きません。聞かなくても届くからです。
- 朝3時:前日の売上・粗利・在庫のレポートがメールで届く(前記事では「テキストで届く」と書きましたが、今はグラフ付きに進化しました)
- 朝4時:クレジットカード複数枚の利用可能枠が、カードごとに一覧で届く
- 朝6時:今日の段取りメール。期限切れのタスク、注意が必要なお金の動き、止まっている自動ジョブが1通にまとまって届く
夜中のうちにスプレッドシートを集計して、Gmailに送る。それだけの仕組みですが、「人に聞く」という行為が私の生活からほぼ消えました。
そして、電話や口頭で数字を確認する必要がそもそもないので、聞き返す負担もありません。聴こえない私でも、みんなと同じ情報を、同じタイミングで受け取れます。
レシピ②:通知メールは、AIが先に読む
【使用ツール】 GAS / Gmail / AI
【仕組み】 報告メールをAIが先に読んで正常かどうか判定 → 正常ならラベルを付けてアーカイブ → 要対応のときだけ知らせる
自動化を増やすと、今度は通知メールが増えすぎるという問題が起きます。私も一時期、毎週100通ほどの自動通知を目でチェックしていました。
そこで今は、報告メールをAIが先に代読しています。「正常です」という内容なら、AIがラベルを付けてそのままアーカイブ。人間の私に届くのは「対応が必要なものだけ」です。
私は「音の呼びかけ」の代わりに、すべての連絡をメールとテキストに寄せています。だからこそ、メールの洪水を防ぐこの仕組みは命綱です。「全部知らせる」から「必要なときだけ知らせる」へ。通知は増やすより、減らす設計のほうが難しくて、効果が大きいです。
レシピ③:レシートは、iPhoneで撮るだけ
【使用ツール】 iPhone / Claude(AI読み取り)/ GAS / スプレッドシート
【仕組み】 iPhoneで撮影 → AIが日付・店名・金額を読み取り → スプレッドシートに自動記入 → 最後に人間が確認
経費のレシートは、iPhoneで写真を撮るだけです。あとはAI(Claude)が日付・店名・金額を読み取って、スプレッドシートに入ります。私がやるのは、最後に内容を確認して「転記」ボタンを押すことだけ。
これは聴こえに直接関係のないレシピですが、根っこは同じです。「自分がやらなくていいことを、仕組みに渡す」。手で打ち込む作業は、AIに読ませる作業に置き換えられます。「入力」はもう、人間の仕事じゃないと思っています。
レシピ④:タスクに「AIやって」と書くと、夜中にAIが働く
【使用ツール】 Todoist / Claude
【仕組み】 タスクに「@AIやって」の印を付ける → 夜中の3時台にAIが自動で着手 → 朝、結果レポートがメールで届く
これが一番気に入っているレシピです。
私はタスク管理に Todoist を使っているのですが、タスクに「@AIやって」という印を付けておくと、夜中の3時台にAIが自動でそのタスクに取り組み、朝には結果のレポートがメールで届きます。
実際にAIが夜中にやってくれたことの例です。
- 自動送信メールの棚卸し(週100通の内訳を調べて削減案を提案)
- 手作業の洗い出しランキング(残っている手作業を年間の時間に換算)
- ブログ記事の内部リンク候補の洗い出し
私が寝ている間に、AIが調べて、まとめて、報告してくる。「思いついたら印を付けるだけ」で、翌朝には材料が揃っています。
大事にしているルール:最後の決定は、人間がする
ここまで読むと「全部AI任せ?」と思われるかもしれませんが、逆です。
私は役割をはっきり分けています。
- AIの仕事:調べる、集計する、下書きを作る、選択肢を出す
- 私の仕事:見る、選ぶ、決める
お金を動かす、外に公開する、削除する——取り返しのつかないことは、必ず人間の私がボタンを押す。このルールがあるから、安心してAIに任せられるんです。
今日から始めるAI自動化:まず1つ、「聞かなくて済む仕組み」から
道具は、特別なものではありません。
- Claude(AI。読み取り・分析・コード作成の相棒)
- GAS(Googleのスプレッドシートやメールを自動で動かす)
- Python(パソコン側の自動処理)
- Todoist(タスク管理。AIへの指示書にもなる)
全部を真似する必要はないです。おすすめの順番はこうです。
- まずAIに話しかけて、やり取りに慣れる
- 「毎日、人に聞いたり目で確認したりしていること」をひとつ選んで、自動で届くようにする(GASの得意分野です)
- 慣れてきたら、少しずつ仕組みを増やす
私も最初は、たった1本のレポートメールからでした。
そしてポイントは、「面倒くさい」と思った時が、自動化を実現できるきっかけだということ。「またこれやるのか…」と感じた瞬間こそ、仕組み化のチャンスです。
まだAIを使っていない方は、まず「AIで何ができるだろう?」と、いろいろ問いかけてみてください。
- 「このメールを3行で要約して」
- 「このレシートを読み取って、表にして」
- 「今日やることを整理して」
こんな身近なお願いからで大丈夫です。AIとのやり取りに慣れることが、仕組み作りの第一歩になります。そして慣れてきたら、「この作業を自動化するコードを書いて」と頼んでみてください。いまは、AIに「こう動いてほしい」と日本語で頼める時代です。
聴こえないことは変えられません。でも、聴こえなくても回る仕組みは、いくらでも作れます。
そして振り返ると——聴こえないことがきっかけで作ったこの仕組みたちは、難聴の人だけでなく、忙しく働くすべての人に役立つ仕組みでした。AIは特別な人のための技術ではなく、毎日の小さな負担を減らすための道具です。
仕組みが増えるほど、私は自由に近づいています。
次はあなたの番です。まず1つ、作ってみませんか。
それぞれのレシピの詳しい作り方は、今後の記事で少しずつ紹介していく予定です。


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