「聞き返してしまったら、落とされるかもしれない」
難聴があると、面接そのものが怖くなります。私も感音性難聴で、補聴器を使っています。その気持ちはよく分かります。
でも正直に書くと、私は面接を怖いと思っていません。
強がりではありません。理由があります。聞き返し方を先に決めてあること。できないことを、会社が納得する形で伝えられること。そしてもう一つ、面接という場そのものを、私が楽しみにしていることです。
この記事では、私が面接でやっていることを書きます。
この記事でわかること
- 聞き取れなかったときの、決まった言い方2つ
- 「電話ができません」を、会社が受け取りやすい形で伝える方法
- なぜ私が、面接を怖いと思わないのか
なお、就職までの全体の流れや障害者雇用のしくみは「聴覚障害の就職は不利だけじゃない」に書きました。この記事は、そのうち面接の場面だけを取り出したものです。
1. 聞き返し方は、先に決めておきます
難聴のある人が面接でいちばん怖いのは、たぶん「聞き取れなかったとき」です。
聞き返したら印象が悪くなるのではないか。そう思って、聞こえたふりをしてしまう。そして見当違いの答えをしてしまう。これがいちばん困ります。
私は、聞き返すときの言い方を先に決めています。2つです。
- 「すみません。ご質問は〇〇という内容で、認識は合っていますか?」
- 「この部分が分かりづらかったので、もう一度お願いできますか」
1つめは、聞き返すというより確認する形です。自分が受け取った内容を口に出して、合っているかを相手にたずねます。全部を聞き直さずに済みますし、ずれていればその場で直せます。
言い方を決めておく理由は、単純です。その場で考えなくて済むからです。焦っているときに言葉を探すのは、とても難しい。先に用意しておけば、口から出てきます。
そして、ここが大事なところです。
私は、聞き返すことを「減点」だとは考えていません。
むしろ「聞き取れなかったとき、私はこう対処します」と見せる場だと考えています。
聞き返した場面で伝わるのは、聞こえなかったという事実だけではありません。そこからどう立て直すか、という自分のやり方も一緒に伝わります。
黙ってしまう人と、その場できちんと確認できる人。会社が一緒に働きたいのは、どちらでしょうか。聞き返しは弱みをさらす行為ではなく、やってみせる場です。

聞き返しは減点ではなく、対処のしかたを見てもらう場です。
私はそう考えるようになってから、聞き返すことが怖くなくなりました。
2. 「電話は避けたい」を、会社の損得として伝えました
面接では、できないことも伝えます。私の場合は、外部との電話のやり取りです。
ただ、伝え方は工夫しました。「聞こえないので電話ができません」とは言いませんでした。こう言いました。
聞き間違いによって会社のブランドに泥を塗るようなことは避けたいので、外部との電話のやり取りは避けたいです
同じことを言っているようですが、向きが逆です。
「聞こえないのでできません」は、私の都合の話です。
「会社のブランドを守りたい」は、会社の損得の話です。
社外に出る電話で聞き間違いが起きたとき、困るのは会社です。その心配をなくしたい、と言っているわけです。
この言い方なら、会社は判断ができます。「では社内の連絡とメールを中心にしてもらおう」と、置き場所を考えられるからです。
できないことを隠す必要はありません。ただ、伝える向きを、自分の都合から会社の都合に変える。それだけで、受け取られ方がまるで変わります。

「私が困る」ではなく「会社が困る」の話にします。
3. 会議は「3人以上」で線を引いています
もう一つ伝えているのが、会議のことです。
1対1の話し合いなら、問題なくできます。でも3人以上になると、声がどこから来るのか分からなくなり、やり取りについていけなくなります。ここははっきり線を引いています。
なので、こう伝えています。「3人以上の会議では、情報保障をつけてほしいです」。情報保障というのは、聴こえにくい人にも話の中身が届くようにする工夫のことです。
このとき具体的に何をお願いしたのか(文字にできるツール、iPhoneと補聴器のBluetooth接続)と、就職までの全体の流れは、聴覚障害の就職と、障害者雇用の制度の話にまとめています。
4. なぜ私は、面接を怖いと思わないのか
ここまでは準備の話です。でも、私が面接を怖いと思わない理由は、もう少し別のところにあります。
面接に出てきてくれるのは、その会社の看板を背負っている人です。
普段の生活で、そういう人と面と向かって話せる機会は、まずありません。しかも相手は、私のために時間を取ってくれています。
そして私は、その会社のことをまだ何も知りません。だから、聞きたいことがたくさんあります。どんな仕事をしているのか。どんな人が働いているのか。中に入らないと分からないことを、その場で直接聞ける。
私は、それが単純に楽しみなのです。

知らないことを聞ける場だと思えば、面接は楽しみになります。
「試される場だ」と思えば、同じ時間が怖いものになります。「知らないことを聞ける場だ」と思えば、楽しみになります。
不思議なもので、体の反応はどちらも同じです。心臓が速くなって、手に汗をかく。違うのは、それを自分がどう受け取るかだけです。

まとめ
緊張そのものは、なくなりません。私も、まったく平気なわけではありません。
でも、面接をどういう場だと思うかは、自分で決められます。
私がやっているのは、この3つです。
- 聞き返し方を、先に決めておく。 聞き返しは、対処のしかたを見せる場だと私は考えています
- できないことは、会社の損得の形で伝える。 自分の都合ではなく、会社が困らない話にします
- 面接を、知らないことを聞ける場だと考える。 試される場ではありません
次に面接の予定が入ったら、まず聞き返しの言い方を2つ、声に出して練習してみてください。書いて眺めるのではなく、口に出すことが大事です。それだけで、当日の落ち着き方が変わります。

だまされたと思って、一度だけ声に出してみてください。
※この記事は、私自身の面接での経験と、そこから考えたことの整理です。すべての人に当てはまる方法ではありませんし、こうすれば必ず受かるという話でもありません。合う部分だけ持ち帰ってもらえたらうれしいです。

