会議の話が、どんどん先に進んでいく。
いま何の話をしているのか、分からなくなる。
聞き返したいけれど、会議は止められない。
私も、何度もあります。
私は感音性難聴で、両耳に補聴器をつけて働いています。会社では会議に出ますし、オンラインの会議もあります。それでも仕事は回っています。
理由は、私の耳がよく聞こえるからではありません。会議の中で勝負するのをやめたからです。私がやっていることは、そのほとんどが会議の前と、会議の後にあります。
この記事でわかること
- 会議が始まる前に、私がやっている準備
- 字幕(文字起こし)が8割しか出ないとき、残りをどう埋めているか
- 私が「議事録はできません」と伝えた理由
働いていてつらいときの話は難聴で仕事がつらいときに、私がやっていることに書きました。この記事は「会議」の場面だけの話です。
会議は、始まる前に半分終わっています
私が出る会議には、定期的に開かれるものがあります。そういう会議では、前もって資料が配られることが多いです。
私は、その資料に先に目を通します。
そして、資料の中に知らない専門用語があったら、自分で調べておきます。会議が始まってから調べるのでは間に合わないからです。
これをやっておくと、当日の景色が変わります。会議で課題について説明されても、だいたい理解できるのです。話の中身をもう知っているので、少しくらい聞き取れない言葉があっても、話の流れから埋められます。
逆に、中身を知らないまま会議に入ると、私はとても不利になります。聞き取ることと、内容を理解することを、同時にやらなければいけないからです。
だから私は、分かる状態にしてから会議に入るようにしています。
私の場合、字幕で拾えるのは体感8割です
オンラインの会議では、文字起こし(話した言葉が文字で出る機能)を使っています。私が仕事で使っているのはTeamsという会議用のアプリです。
ここでも準備があります。会議が始まる前に、字幕の設定をすませておくことです。

そのうえで、正直に書きます。文字起こしで拾えるのは、私の体感で8割ほどです。
うまく文字にならないのは、だいたい次のようなときです。
- 使われる言葉の選び方(その会社や現場だけで使う言い方など)
- 話す人の声の特徴(声の高さや話し方のくせ)
つまり、機械は万能ではありません。8割は助けてくれますが、2割はこぼれます。
ここで大事なのは、こぼれた2割をゼロにしようとしないことだと思っています。私は、こぼれた分をその場でメモに残します。そして会議のあとで、メンバーに聞きます。
会議の中で全部を取ろうとすると、どうしても無理が出ます。だから私は、取りきれなかった分を後ろに回しています。
補聴器とiPhoneをつないで音を聞く方法や、昔やっていた配線の話は聴こえないから、仕組みを作る ― 難聴エンジニアの仕事術に書きました。
対面の会議では、座る場所を大事にしています
会議室に集まる会議では、オンラインのようにはいきません。ここで効いているのは、道具ではなく座る場所です。
私は、左のほうが聞こえます。

このことを、私は面接のときから伝えています。今の職場のメンバーにも伝わっています。
そうすると、どうなるか。私が「そこに座らせてください」とお願いしなくても、みんなが自然に、左側の位置を空けてくれるのです。

お願いしなくても伝わっているのは、先に言ってあるからです。
ここは、自分でも大事なところだと思っています。配慮は、その場でお願いするものだと思われがちです。でも実際は、必要な配慮を先に伝えておくと、相手のほうが動いてくれるのです。
伝えていなければ、まわりは何も知りません。知らない人は、動きようがありません。
面接でどう伝えたかは難聴の私が、面接を怖いと思わない理由に書いています。
聞き取れなかったことは、そのままにしません
準備をしても、字幕を出しても、うまく聞き取れない会議はあります。

そのとき私は、上司に聞きます。こんな感じです。
「この会議、なかなか聞き取れませんでした。こういうときって、どうすればよかったですかね。あはは」
わざと、軽く聞いています。深刻な相談にしないほうが、こちらも聞きやすいし、相手も答えやすいと思うからです。
黙っていると、聞き取れなかったことは、そのまま消えます。消えたまま仕事が進むほうが、私にとってはこわいのです。
私が「できません」と伝えたこと ― 議事録
もうひとつ、正直に書いておきたいことがあります。
私は、議事録はできませんと、あらかじめ伝えていました。

理由は、私の頭の中で起きていることにあります。あくまで私の体感ですが、会議中の私は、同時に3つのことをしています。
- 音を聞き取る
- 相手の口の動きを読む
- 話の流れを理解する
この3つを同時にやっているので、私にはかなり負荷がかかります。そこへさらに議事録を足すと、処理が追いつかなくなるのです。
だから、できないと伝えました。
そして最近、久しぶりにオンラインの会議で議事録をやってみました。字幕が出るのだから、それをコピーすればできるのではないかと思ったのです。
やってみた結果は、やはり難しいでした。字幕があっても、書く作業が増えれば、そのぶん頭の力を持っていかれます。足りないものは足りませんでした。
そこで私は、その場ですぐ「やはりできません」と伝えました。相手は嫌な顔ひとつせず、了承してくれました。
できない役割を先に伝えるのも、仕事を止めないための準備だと思っています。抱えたまま失敗するほうが、まわりに迷惑をかけます。
聞こえないから、会議ができないわけではありません
ここまで読んでいただいて、気づいた方もいるかもしれません。私が会議のためにやっていることは、ほとんどが会議の外にあります。
- 会議の前に、資料と言葉を頭に入れておく
- 会議の中は、字幕とメモに任せて、取りきろうとしない
- 会議の後に、こぼれた分をメンバーに聞く
- そもそも持てない役割(議事録)は、先に手放す
私の使える力には限りがあります。だから私は、その力をどこに使うかを決めているだけです。聞き取る力で勝とうとしないから、会議が回るのだと思っています。
聞こえないから会議ができない、ではありません。聞こえない前提で組み立てれば、会議は回ります。
まとめ
もし今、会議がしんどいと感じている方がいたら、次の会議の前にひとつだけ試してみてください。
資料の中の「知らない言葉」を、ひとつ調べておく。
それだけで、その会議の聞こえ方は、少し変わるかもしれません。

