難聴で会議が聞こえない私が、会議の前と後にやっていること

会議の前・中・後の3コマ。前=資料を読み知らない言葉を調べる、中=パソコンの字幕とメモに任せる、後=同僚に聞き返す。補聴器をつけた男性が主人公

会議の話が、どんどん先に進んでいく。
いま何の話をしているのか、分からなくなる。
聞き返したいけれど、会議は止められない。

私も、何度もあります。

私は感音性難聴で、両耳に補聴器をつけて働いています。会社では会議に出ますし、オンラインの会議もあります。それでも仕事は回っています。

理由は、私の耳がよく聞こえるからではありません。会議の中で勝負するのをやめたからです。私がやっていることは、そのほとんどが会議の前と、会議の後にあります。

この記事でわかること

  • 会議が始まる前に、私がやっている準備
  • 字幕(文字起こし)が8割しか出ないとき、残りをどう埋めているか
  • 私が「議事録はできません」と伝えた理由

働いていてつらいときの話は難聴で仕事がつらいときに、私がやっていることに書きました。この記事は「会議」の場面だけの話です。

会議は、始まる前に半分終わっています

私が出る会議には、定期的に開かれるものがあります。そういう会議では、前もって資料が配られることが多いです。

私は、その資料に先に目を通します

そして、資料の中に知らない専門用語があったら、自分で調べておきます。会議が始まってから調べるのでは間に合わないからです。

これをやっておくと、当日の景色が変わります。会議で課題について説明されても、だいたい理解できるのです。話の中身をもう知っているので、少しくらい聞き取れない言葉があっても、話の流れから埋められます。

逆に、中身を知らないまま会議に入ると、私はとても不利になります。聞き取ることと、内容を理解することを、同時にやらなければいけないからです。

だから私は、分かる状態にしてから会議に入るようにしています。

私の場合、字幕で拾えるのは体感8割です

オンラインの会議では、文字起こし(話した言葉が文字で出る機能)を使っています。私が仕事で使っているのはTeamsという会議用のアプリです。

ここでも準備があります。会議が始まる前に、字幕の設定をすませておくことです。

補聴器をつけた男性が、ノートパソコンのオンライン会議を見ながら手元のノートにメモを取っている。画面には4人の参加者と、字幕の帯が表示されている

そのうえで、正直に書きます。文字起こしで拾えるのは、私の体感で8割ほどです。

うまく文字にならないのは、だいたい次のようなときです。

  • 使われる言葉の選び方(その会社や現場だけで使う言い方など)
  • 話す人の声の特徴(声の高さや話し方のくせ)

つまり、機械は万能ではありません。8割は助けてくれますが、2割はこぼれます。

ここで大事なのは、こぼれた2割をゼロにしようとしないことだと思っています。私は、こぼれた分をその場でメモに残します。そして会議のあとで、メンバーに聞きます

会議の中で全部を取ろうとすると、どうしても無理が出ます。だから私は、取りきれなかった分を後ろに回しています。

補聴器とiPhoneをつないで音を聞く方法や、昔やっていた配線の話は聴こえないから、仕組みを作る ― 難聴エンジニアの仕事術に書きました。

対面の会議では、座る場所を大事にしています

会議室に集まる会議では、オンラインのようにはいきません。ここで効いているのは、道具ではなく座る場所です。

私は、左のほうが聞こえます

会議室のテーブル。補聴器をつけた男性が手前の席に座り、向かい側と横に同僚たちが座って話している

このことを、私は面接のときから伝えています。今の職場のメンバーにも伝わっています。

そうすると、どうなるか。私が「そこに座らせてください」とお願いしなくても、みんなが自然に、左側の位置を空けてくれるのです。

ひらめいたカワウソ
とおる

お願いしなくても伝わっているのは、先に言ってあるからです。

ここは、自分でも大事なところだと思っています。配慮は、その場でお願いするものだと思われがちです。でも実際は、必要な配慮を先に伝えておくと、相手のほうが動いてくれるのです。

伝えていなければ、まわりは何も知りません。知らない人は、動きようがありません。

面接でどう伝えたかは難聴の私が、面接を怖いと思わない理由に書いています。

聞き取れなかったことは、そのままにしません

準備をしても、字幕を出しても、うまく聞き取れない会議はあります。

オフィスの廊下で、補聴器をつけた男性が上司に笑いながら話しかけ、上司も笑って聞いている

そのとき私は、上司に聞きます。こんな感じです。

「この会議、なかなか聞き取れませんでした。こういうときって、どうすればよかったですかね。あはは」

わざと、軽く聞いています。深刻な相談にしないほうが、こちらも聞きやすいし、相手も答えやすいと思うからです。

黙っていると、聞き取れなかったことは、そのまま消えます。消えたまま仕事が進むほうが、私にとってはこわいのです。

私が「できません」と伝えたこと ― 議事録

もうひとつ、正直に書いておきたいことがあります。

私は、議事録はできませんと、あらかじめ伝えていました。

テーブルをはさんで、補聴器をつけた男性が手のひらを見せながら相手に断りを伝え、相手が落ち着いた表情で受け止めている

理由は、私の頭の中で起きていることにあります。あくまで私の体感ですが、会議中の私は、同時に3つのことをしています。

  • 音を聞き取る
  • 相手の口の動きを読む
  • 話の流れを理解する

この3つを同時にやっているので、私にはかなり負荷がかかります。そこへさらに議事録を足すと、処理が追いつかなくなるのです。

だから、できないと伝えました。

そして最近、久しぶりにオンラインの会議で議事録をやってみました。字幕が出るのだから、それをコピーすればできるのではないかと思ったのです。

やってみた結果は、やはり難しいでした。字幕があっても、書く作業が増えれば、そのぶん頭の力を持っていかれます。足りないものは足りませんでした。

そこで私は、その場ですぐ「やはりできません」と伝えました。相手は嫌な顔ひとつせず、了承してくれました。

できない役割を先に伝えるのも、仕事を止めないための準備だと思っています。抱えたまま失敗するほうが、まわりに迷惑をかけます。

聞こえないから、会議ができないわけではありません

ここまで読んでいただいて、気づいた方もいるかもしれません。私が会議のためにやっていることは、ほとんどが会議の外にあります

  • 会議のに、資料と言葉を頭に入れておく
  • 会議のは、字幕とメモに任せて、取りきろうとしない
  • 会議のに、こぼれた分をメンバーに聞く
  • そもそも持てない役割(議事録)は、先に手放す

私の使える力には限りがあります。だから私は、その力をどこに使うかを決めているだけです。聞き取る力で勝とうとしないから、会議が回るのだと思っています。

聞こえないから会議ができない、ではありません。聞こえない前提で組み立てれば、会議は回ります

まとめ

もし今、会議がしんどいと感じている方がいたら、次の会議の前にひとつだけ試してみてください。

資料の中の「知らない言葉」を、ひとつ調べておく。

それだけで、その会議の聞こえ方は、少し変わるかもしれません。

この記事を書いた人
とおる

難聴のある会社員です。聞こえないぶんを、AIと仕組みで補いながら働いています。
補聴器とiPhoneを直結し、字幕を使い、面倒な作業は自動化する——そんな日々の工夫を、専門用語なしで書いています。

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