「在職中の転職活動、しんどい」「時間がない」「非常識なのでは」。そう検索してこの記事にたどり着いた人もいると思います。
私も、「しんどくても無理して転職活動をするべきだ」とは思っていません。休む時期があってもいいと思います。ただ、何も変えずにただ我慢し続けることと、自分で「今は動かない」と決めることは違うと考えています。
私は聴覚障害があるエンジニアです。これまで3回、転職をしてきました。実は今、転職活動そのものはしていません。でも、「今の会社の状態が変わったら、すぐに動ける」準備だけはずっと続けています。難聴があるので、電話や会社とのやり取りはできるだけ減らし、自分でやらなくていいことはエージェントやAIに任せています。この記事では、その中身をそのまま書いてみます。
結論から。それは全部「人生をどうしたいか」の話です
「時間がない」「しんどい」「非常識なのでは」。転職活動についてよく聞く悩みですが、私の考えでは、これは全部同じ質問に行き着きます。「あなたは、自分の人生をどうしたいですか」ということです。
私は、自分の人生を楽しく過ごしていきたいと思っています。だから、動いた方がいいと思ったら、すぐに動きます。ただし「転職するかどうか」は慎重に決めればいいと思っています。慎重に決めていいからこそ、「いつでも動ける準備」だけは普段からしておきたい。これが私の考え方です。
「時間がない」なら、AIに任せられることは任せる
「時間がない」という悩みに対して私が思うのは、「どうやったら時間を作れるか」を考えてみる、ということです。私の場合、その答えのひとつがAIでした。
もともと私は、仕事でも手作業を仕組みに置き換えるのが好きです。前職では、ウェブからデータをダウンロードして加工し、またウェブにアップし直す作業や、請求書の照合確認、覚書の締結書作成とWeb締結の準備を、Pythonで自動化していました。この「仕組みに置き換える」という考え方を、転職活動でも同じように使いました。今度使ったのは、プログラムではなくAIです。
前回の転職活動のとき、ちょうどChatGPTが出始めた頃で、さっそく使っていました。職務経歴書や自己PRの文章を、自分の経歴や希望を伝えたうえでAIに作ってもらう。エントリーする企業についても、その企業についてAIに情報を整理してもらい、自分の強みを活かせそうかを確認する。以前受けたストレングスファインダーの結果と、その企業の業種を照らし合わせて、自分に合いそうかを見る、といった使い方もしていました。
一から自分で全部調べるより、AIに下ごしらえをしてもらって、自分は確認と判断に集中する。これだけで、使える時間はだいぶ変わってきます。

「しんどい」なら、自分でやらなくていいことは任せる
「しんどい」という悩みには、「自分がしんどいと感じる時間帯はいつか」「自分の力を発揮できる時間帯はいつか」を見極める必要があると思っています。同じ1時間でも、疲れている時間にやるのと、調子がいい時間にやるのとでは、進み方がまったく違います。
これは日々の仕事でも同じです。会議では文字起こしを使うなど、聞こえの負担を減らす工夫を普段からしています(過去記事に書きました)。日常の負担を減らしておくことが、転職活動のような「もうひとつのやること」に力を残しておくことにもつながります。
そしてもうひとつ、私は転職活動を全部自分でやろうとはしていません。自分でなくてもできることは、できるだけエージェントに任せています。難聴があることの伝え方や、企業とのやり取りも含めてです。この中身は、後の章で詳しく書きます。

「非常識」だと思うなら、まず自分で調べてみる
私は、「常識」と言われているものを、一旦「非常識」だと疑ってみるところから考えます。「なぜこれが常識なのか」「なぜこれじゃなきゃいけないのか」を、自分の頭で調べてみるということです。その場では「これは非常識かもしれない」と感じることもありますが、すぐに結論を出さず、まず調べます。調べて、自分が納得できてから、次にどう進むかを判断する。これが私のやり方です。
「在職中の転職活動は非常識なのでは」という悩みも、たぶん根っこにあるのは「終身雇用」という考え方だと思います。私はこれも、自分で調べてみました。
終身雇用は、もう当たり前の前提ではなくなってきていると感じています。大手企業のトップが、終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた、という趣旨の発言をしていたのを見たのも一つのきっかけです。ひとつの会社だけを前提にせず、次の選択肢を普段から調べておくことは、おかしなことではないと思っています。これは、あくまで私が自分で調べて納得した、私の解釈です。どう感じるかは人それぞれだと思うので、気になった人はぜひ自分でも調べてみてください。
最後に自分の人生を選ぶのは、自分です。だから、必要な人や仕組みに頼りながら、いつでも動ける準備をしておきたいと思っています。これが、私が「在職中の転職活動は非常識ではない」と考える理由です。

「常識」と言われているものほど、まず自分の頭で疑ってみる。それが私のやり方です。

副業で収入源を2つ以上持ってから、強気に動けるようになった
以前の私は、転職をせずに、ただ我慢することもありました。この考え方が変わったのは、副業(せどり)を始めて、収入源を2つ以上持つようになってからです。
もちろん、副業を始めることがすべての人への答えだとは思っていません。私の場合は、収入源が増えたことで、会社への依存が減りました。収入源が1つだけだと、どうしても「これが無くなったら」という心配が先に立ちます。でも、収入源が複数あると、心に余裕ができます。この余裕があるから、「今の会社が合わなければ動けばいい」と、強気に考えられるようになりました。

「今の上司が合わない」と感じたときの自分ルール
私には、上司との関係がうまくいかないと感じたときの、自分なりの順番があります。
まず、人事に「上司を変えてほしい」「部署を異動させてほしい」と相談します。それでも変わらなければ、そのときは自分から転職活動を始めます。「嫌なら転職」ではなく、社内で改善を試してから外を見る、という順番です。
会社が自分に合っているかどうかは、実際に転職してみないと分からないところもあると思っています。変化を好まない人には難しいかもしれませんが、私は変化を選んだ方が、人生を楽しめると感じています。

難聴の私が、実際に動くときにやっていること
ここまでは考え方の話でしたが、実際に転職活動をするとなったときは、障害者専門の転職エージェントに任せています。(過去記事「転職エージェントを一社に絞らない理由」にも書きました)
応募のときには、必ず自分に聴覚障害があることを、エージェントを通じて先に伝えてもらいます。自分ができることとできないことも、あらかじめエージェントにまとめておき、会社側にはエージェントから伝えてもらいます。だから、私から会社に直接、障害のことをやり取りする必要はありません。
面接の日程調整も、エージェントが間に入ってくれます。連絡の方法も、電話ではなくメールやLINEに合わせてくれるので、聞こえのことで困る場面がほとんどありません。「自分ができないこと」を先にまとめておく。これが、転職活動をスムーズに進めるいちばんのコツだと思っています。

自分ができないことを先に伝えておくと、安心して任せられます。連絡はメールやLINEで大丈夫、というだけでも気持ちが楽になりますよ。

まとめ
「在職中の転職活動はしんどい」「時間がない」「非常識なのでは」。こう感じている人に伝えたいのは、それはすべて「自分の人生をどうしたいか」という判断だということです。
私は、AIやエージェントに任せられることは任せ、終身雇用という「常識」を自分で調べ直し、副業で収入源を複数持つことで、会社にしがみつかなくていい状態を作りました。
難聴があるからこそ、私は会社の配慮だけに頼りきらず、自分で自分を守る準備をしておきたいと思っています。今の会社にいるかどうかより、いつでも動ける自分でいること。それが、私にとっての安心の形です。

動ける自分でいること。それだけで、毎日が少し軽くなります。

