聴覚障害の私が、転職エージェントを一社に絞らない理由

40代前半に見える、メガネと補聴器をつけた男性がノートパソコンの前で考え込んでいる。左には3人のエージェントのアイコンが1人の人物へつながる図解と「1社だけを答えにしない」の文字。

私は聴覚障害があるエンジニアです。これまで3回、転職をしてきました。今の会社には、障害者専門の転職エージェント3社に登録して入りました。

「転職エージェントは無料」と聞くと、「タダより高いものはない」と身構えてしまう人もいると思います。私もそうでした。書類を直してくれて、面接の練習にも付き合ってくれて、企業とのやり取りまで代行してくれる。それが全部無料だと言われると、逆に落ち着きません。

でも、なぜ無料なのかという仕組みを知ってしまえば、その不安はだいぶ減ります。そしてこの記事でいちばん伝えたいのは、仕組みの話よりも「1社だけを答えにしない」という、私が3回の転職で学んだことです。

この記事でわかること

  • 転職エージェントが、なぜ無料で使えるのか
  • 1社にしか頼らなかった、私の1回目の転職で気づいたこと
  • 2024年、3回目の転職で見えた「良いエージェント」と「サポートが薄いエージェント」の違い

転職エージェントは、なぜ無料なのか

転職エージェントは、登録しても、相談しても、紹介を受けても、こちらの財布からお金が出ていく仕組みにはなっていません。

お金を払っているのは、採用する企業の側です。人を採りたい企業がエージェントに報酬を払う、という流れになっています。

だから、エージェントは求職者を無料で支援しても、事業としてちゃんと成り立ちます。私が利用した障害者専門の転職エージェント3社は、どこも求職者側の利用料は無料でした。企業側から報酬を受け取る仕組みだからです。

一社しか見えていなかった、1回目の転職

私の1回目の転職は、何の情報もないところからのスタートでした。自分で求人を見てエントリーしたり、エージェントを通して紹介してもらったりしていました。

その中で、ある担当者に「あなたのスキルでは、この会社には入れません」と、厳しいことを言われたことがあります。

正直、悔しいとか残念だとは思いませんでした。自分は良い人材だと思っていましたし、合わない会社なら、自分を活かせる別の会社に行けばいい、というだけの話だと考えていたからです。

エージェントの女性担当者に「あなたのスキルでは、この会社には入れません」と言われても、腕を組んで動じずにいる、メガネと補聴器をつけた男性。「合わない会社なら、自分を活かせる別の会社に行けばいいだけだ」という心の声の吹き出し。

ただ、今振り返ると引っかかる点があります。当時は1社にしか頼っていなかったので、その担当者が見せてくれる求人が、自分にとっての選択肢のすべてでした。その担当者の考え方や、扱っている求人の範囲でしか、次の一歩を選べなかったということです。

ひらめいたカワウソ
とおる

1社の視野が、そのまま自分の視野になっていました。

2024年、3回目の転職は3社に依頼した

今の会社に入った、3回目の転職は2024年でした。当時も今も、大事なことは変わりません。今度は同じ失敗を繰り返さないように、障害者専門の転職エージェントに3社登録しました。

3社に同時に頼ってみると、対応の差はすぐに見えてきました。

ノートパソコンとタブレット2台に、エージェントA・B・Cそれぞれからの求人メールが並び、メガネと補聴器をつけた男性がそれを見比べている場面。

サポートが薄かった1社

1社は、自分の強みややりたいことをきちんと伝えたにもかかわらず、提案してくる企業が希望に沿わないものばかりでした。

「なぜこの企業を紹介したのですか」と理由をメールで聞いたのですが、返ってきたのはあまり中身のない答えでした。「他に企業があれば紹介してください」とお願いしても、それきり連絡が来なくなったこともあります。

私が「サポートが薄い」と感じたのは、こういうところです。

手厚かった2社

残りの2社は違いました。私が「これが自分の強みです」と伝えると、「あなたなら、この企業がいいですよ」と、理由も添えて提案してくれました。

その理由に納得できたので、私は紹介された企業のことを、自分でも調べるようにしていました。口コミなど、分かる範囲で。当時はまだAIが今ほど身近ではありませんでしたが、いまならAIを使って、企業について調べる手がかりを集めることもできます。ただし、最後は企業の公式サイトなどで確認します。

うれしそうなカワウソ
とおる

「あなたなら、この企業がいいですよ」その一言が、いちばん効きました。

振り返って分かった、エージェントを比べるときの見え方

3社を同時に使ってみて、対応の差がどこに出ていたか、今なら言葉にできます。

  • 自分の希望を、ちゃんと聞いてくれるか
  • 求人を紹介する理由を、説明してくれるか
  • 希望と違う求人ばかりを送ってこないか
  • 質問への返事に、中身があるか
  • 連絡が、途切れないか

サポートが薄かった1社は、このどれも弱かったです。手厚かった2社は、このどれも満たしていました。

左に「サポートが薄いエージェント」からの中身のない返信メールとその後連絡が途絶えたことを示す吹き出し、右に「手厚いエージェント」からの強みに合わせた理由つきの求人紹介メール。中央でメガネと補聴器をつけた男性が考え込んでいる。

自分の強みを、担当者にはっきり伝える

サポートの差を経験して分かったのは、エージェントの質だけでなく、自分の伝え方も大事だということです。

何ができるのか、何が強みなのかを、担当者にはっきり伝えておく。それができていると、エージェントの提案の質も変わってきます。限られた時間でアピールしないといけないからこそ、ここは準備しておく価値があります。

転職活動をする時期も、意識していた

エージェントを使うと、こんな話も聞けます。私が担当者から聞いたのは、求人が増える時期の話でした。2024年は、ちょうど障害者の法定雇用率が引き上げられた年でもあり、求人がいつも以上に多い時期だったと聞きました。

こうした「いつ動くと求人が多いか」を聞けるのも、エージェントを使ってよかった点の一つです。人手不足のニュースなどをYouTubeで見ながら、動く時期を自分でも考えていました。

難聴だからこそ、複数の窓口を持つ

私は難聴なので、耳から入る情報だけに頼らず、目からも情報を取るようにしています。(過去記事「難聴エンジニアの仕事術」にも書きました)転職でも、一つの情報だけを答えにしないようになりました。

1つの窓口だけに頼ると、その窓口の外にある情報は、そもそも見えません。窓口を複数持っておくことが、自分に合う道を見つける近道になります。

窓口A・B・Cと書かれた3つの扉が開いていて、それぞれの先に違う景色の道が広がっている。メガネと補聴器をつけた男性が後ろ姿でその3つの扉を見ている。

まとめ

転職エージェントは、求職者は無料、収入源は企業。この仕組みを知っておくだけで、身構えは軽くなります。

そのうえで、私が伝えたいのはこれです。3社に登録したことで、初めて担当者の対応を比べることができました。1社だけだったら、「転職エージェントとはこういうものだ」と思い込んでいたかもしれません。1社にすがらないこと。それだけで、見える選択肢が変わります。

うれしそうなカワウソ
とおる

窓口をひとつ増やすだけで、見える景色が変わります。

この記事を書いた人
とおる

両耳が聞こえにくい会社員です。障害者雇用の枠で働きながら、副業でせどりもしています。
聞こえないぶんは、AIと仕組みで補っています。補聴器とiPhoneを直結し、会議は字幕を使い、面倒な作業は自動で終わらせる。そんな日々の工夫を、専門用語なしで書いています。
妻と中学生の娘との3人家族です。

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