難聴があると、日々の生活の中で「できないこと」のほうに、どうしても目が向きます。私もそうでした。「自分には、これといった強みがない」。そう感じたことはありませんか。私も長いあいだ、資格や実績のようにはっきり目に見えるものだけが強みだと思い込んでいました。でも実は、強みはもっと地味な場所に隠れています。頑張っている意識すらないのに、なぜか続けられること。誰にも頼まれていないのに、つい手を出してしまうこと。そんな無意識のクセの中に眠っています。
今回、自分の強みを「価値観」「幼少期」「今夢中になっていること」の3つの方向から実際に掘り起こしてみました。そして最後に、以前受けた診断ツールとAIを使って、別の角度から確かめました。
この記事でわかること
- 強みとスキルの違い
- 価値観・幼少期・今夢中なこと、3つの角度からの掘り起こし方
- 診断ツールとAIで、別の角度から確かめるやり方
そもそも「強み」とは何か|スキルとの違い
この記事では、スキルと強みを少し分けて考えます。似ているようで別のものです。スキルは後から身につけた、いわば外付けの道具。プログラムの書き方や、英語の読み方のようなものです。それに対して強みは、意識しなくても自然と出てしまう考え方や行動のクセに近いものです。
だから強みを探すときは、「頑張ればできること」ではなく「頑張らなくてもできてしまうこと」に目を向けます。つい人にやってあげてしまうこと、気づいたら時間が過ぎていること。そこに強みのタネがあります。
もうひとつ大事なのは、他人より上手いかどうかでは判断しない、ということです。上手さより、自分の中で消耗せずに続けられるかどうか。長く続けられることは、時間をかければ自然と得意になっていきます。
価値観から探る、「これだけは譲れない」場面
最初の入り口は、自分が何を大事にしているか、という軸です。「これだけは譲れない」と感じる場面や、逆に「これをされると嫌だ」と強く反応する場面を思い出してみると、見えてきます。
私の場合、自分で決めた道に他人から口出しされるのが、すごく嫌です。決めたことを曲げるのは、自分の信念やプライドを曲げることだと感じるからです。提案として聞くのはいいのですが、「こうした方がいいよ」と押しつけられるのは絶対に聞きません。自分が納得できるまで、どんどん進めます。
もうひとつの軸は、時間の使い方です。大人になってから、時間が足りないと感じるようになりました。だから、朝のラッシュのような、意味のない待ち時間を避けるようになりました。毎朝4時45分に家を出るのも、そのためです。電車では座って作業をしたり、YouTubeを聴きながら考えごとをしたりしています。混雑している場所には、できれば行きたくありません。
ただし、これは「なんでも避ける」という話ではありません。本当にやりたいことなら、混雑していても並びます。避けているのは、意味のない待ち時間だけです。
あなたにも、「これをされると強く嫌だ」と感じる場面はありませんか。そこに、自分が大事にしているものが隠れています。

幼少期の記憶から探る、夢中になっていたこと
次は、時間を大きくさかのぼります。子どもの頃、時間を忘れて没頭したことを思い出してみます。
私は小学生の頃、ボーイスカウトに入っていました。餅つき大会や、夏と冬のキャンプ、ハイキングなど、いろいろな活動をしていました。年末年始には、明治神宮で奉仕活動もしていました。本殿までの道にある焚き火に、参拝の人が触れてしまわないよう見守る役目です。
その中で一番よかった思い出は、元旦をあえて外して参拝できたことです。人が少ない時間を選んだので、まだ誰も来ていない、静かな時間に参拝できました。あの静けさは、今でも忘れられません。


静かな時間を選んだだけなのに、一生の思い出になりました。
大人になった今も、人が少ない時間に何かをするのが好きです。ただ、これは子どもの頃から意識してやっていたことではありません。当時はそんなことを考えてもいませんでした。大人になって時間が足りないと感じるようになってから、自分で選ぶようになったことです。
つまりこの幼少期の記憶は、「昔からずっと変わらない強み」の証拠にはなりませんでした。掘ってみても、全部がきれいに今の自分とつながるわけではない。それも含めて、正直な結果だと思います。
それでも、思い出す価値はあります。誰にも言われなくても、何時間でも続けていたことはありませんか。
「今、夢中になっていること」から探る
過去だけでなく、今この瞬間にもヒントは転がっています。
今の私が夢中になっているのは、せどり(仕入れて売る副業)と、プログラムを使った自動化です。お店との交渉や、いくらで買い取ってもらえるか、何を仕入れるかの判断。移動時間には、うまくいかなかったことを振り返ったりもしています。
プログラムは、会社でも自宅でも使っています。ただ、私はプログラムのコード(命令文)そのものは書けません。それでも、「こうしたい」というアイデアはたくさんあります。それをAIに伝えて、実際に動く形にしてもらっています。うまくいかなかったときも、なぜ失敗したのかをAIと一緒に調べます。自分では手を動かせない部分を、AIが埋めてくれている感覚です。
お金にならなくても、つい調べたり、改善したりしてしまうことはありませんか。それも、強みのタネです。


コードは書けなくても、AIが手足になってくれます。
診断とAIで、別の角度から確かめる
書き出したことだけでは心もとない、というときは、ツールの力を借りるのもいいと思います。私は以前、「ストレングス・ファインダー2.0」という診断を受けました。自分の強みになりやすい資質を、上から順に並べてくれる診断です。
私の上位10個は、適応性・運命思考・信念・最上志向・達成感・責任感・学習欲・調和性・収集心・規律性でした。
この中の「信念」という項目を見たとき、はっとしました。まさに、さきほどの「自分で決めたことに口出しされたくない」という話と同じだったからです。書き出した内容と、診断の結果が重なりました。「やっぱりこの傾向があるんだな」と、自分の中で納得できました。
診断結果は、答えそのものではありません。あくまで言語化のヒントです。しっくりくる言葉があれば拾い、違和感があれば手放せばいいと思います。私がよくやるのは、書き出したメモをAIに渡して、共通点や言い換えを整理してもらう方法です。自分では気づけなかったつながりを、別の言葉で見せてくれることがあります。
難聴だからできない、ではない
3つの材料を並べてみます。価値観では、自分で決めた道に口出しされたくない。今の暮らしでは、意味のない待ち時間を減らしたい。今夢中なことでは、うまくいかない仕組みを改善するのが楽しい。
こうして並べると、共通しているのは「自分で考えて、無駄を減らし、仕組みに変えること」でした。
これは、以前の記事(難聴エンジニアの仕事術)でAIに強みを分析してもらったときの結論、「当事者として本物の課題を見つけ、AIを指揮して、動く仕組みに仕上げて、つなぐ人」と同じでした。
やり方を変えても、同じ答えが出てくる。私の場合、強みは新しく作るというより、すでに繰り返していた行動の中に隠れていたようです。難聴だからできない、ではなく、難聴も含めた今の自分の中に、ちゃんと強みがある。そう考えると、次に何かができないと感じたときも、視点を変えて自分を見直してみようと思えます。
できないことを数えるだけでは見えなかったものが、いつもの行動を振り返ると見えてくることがあります。
まとめ
強みを探すのに、大がかりな準備はいりません。価値観・幼少期・今夢中なこと。このうちどれか一つを選んで、5分だけ書き出してみてください。
きれいにまとめる必要もありません。出てきた言葉をただ眺めるだけでも、自分の傾向がうっすら見えてきます。その小さな一歩が、「強みがない」から「強みに気づいていなかっただけ」へと、見え方を静かに変えてくれるはずです。

気づいていなかっただけで、強みはちゃんとありました。

